私は今やっと真のイスラム教徒になれたと思いました。瞑想し、コーランを読み、説教を聞き、数々の質問を重ねてきました。私の子供達にも同じく真のイスラム教徒になれるよう教育しています。私は常に祈りを捧げ、神が勧めることは全て行う様にしています。私は信仰の面でも誰にも負けないと考えています。
セネガルのレスラーは、タムタムの音無しには戦えません。試合に望む前にレスラー達はタムタムに合わせて踊ります。この踊りの中で、レスラー達は次第に緊張感を高め、戦う勇気と力を奮い立たせてゆきます。
タムタムのリズムは、女性の心にも直接届きます。あなたが一人で寂しいのならタムタムを叩くことです。あなたに意中の人がいるならタムタムを叩くことです。相手の目を瞬きせずに見つめながら思いの丈を込めてタムタムを叩きます。人生は音楽。人生はリズムです。恋もタムタムのリズムが実らせてくれます。熱の入った演奏を繰り返すうちに彼女は思うでしょう。「この人は、私を見かけると決まって私を見つめて一生懸命タムタムを叩く。」私も何度こうして気持ちを伝えたことか。
タムタムを叩いていると何者かが踊り出すのが見える時があります。普段は見えないものです。私はそれは精霊に違いないと思っています。コーランを唱えながらリズムを刻んでいると、タムタムの中から精霊が追い立てられ外に現れ出るのだと思います。タムタムは精霊が作った楽器です。ですから、タムタムには精霊が棲みついています。演奏に熱が入れば入るほど演奏しているのは私ドゥドゥ自身ではなくなってゆきます。このドゥドゥと他の何者とが同じ一つのタムタムを一緒に演奏しているのです。赤ん坊の洗礼の日には、私も必ず儀式に加わります。赤ん坊の左右の耳にコーランの言葉を唱え、そして「お前はこの世に生を受けた。お前がイスラム教徒となるよう、ここに洗礼を施す。」と言い聞かせます。それから赤ん坊の親族が、かわるがわる同じ言葉をささやいてゆきます。みんなから祝福を受け、贈り物をもらい、そしてこの日から赤ん坊はイスラム教徒になったとみなされます。私は子供達に、自分のリズムを信じるように教えています。自然の中に隠れているリズム、人生の中に溢れているリズム、それを小さいうちから感じ取り、自分のものにして欲しいと思っています。そしてできるなら自分で新しいリズムを作り、そのリズムのままに生きて欲しいと願っています。
私は、ある時「やってみよう。できないはずはない。」と思い立ちました。女性の打楽器合奏団を作ろうと考えたのです。女性がタムタムを叩くなど前代未聞の事でした。私は、私に少なからぬ人数の娘を与えてくれた神に大いに感謝します。私の娘と、息子の妻全員を集めると23人になりました。私の母の名は、クンバローズと言い、そのローズから合奏団をロゼットと名付けました。ロゼットは私の鼓動を流れる血のリズムを受け継いた合奏団ロゼッタを引き連れてフランスに行きました。ナンシーで開かれるジャズフェスティバル出演のためです。私は外国での公演は何度も経験していますが、娘達のほとんどが、これが初めての海外旅行でした。しかし、この時一番浮き浮きしていたのは、娘達より私自身でした。定められた礼拝、神々の祈りの言葉は同じです。最後に許されている個人的な祈りも、公演を前にしたこの時はみんな同じでした。午後遅くナンシーの町に着きました。夜の開演までの時間、街を見学して過ごしました。外国の風物が、私達の中に流れるセネガルのリズムを一層際立たせてくれるかもしれません。稽古は、国で充分に重ねてきました。演奏には自信があります。会場に近付くにつれ、メンバー全員の鼓動が同じテンポで打ち始めたのを感じていました。
世界に広まったジャズのルーツはアフリカにあります。アフリカの自然、アフリカの人生から生まれたリズムが、世界に受け入れられています。私が一生を託したセネガルの音楽、セネガルのリズム。それは世界の人々と分かち合えるものだと信じています。私の夢は、男女の合奏団のメンバーと共に世界ツアーを行う事です。その夢が実現したなら、私達のリズムをもっと多くの人に知ってもらえ、そして世界の様々な土地のリズムを、私達が知る事ができます。自然も人生も、世界はすべて音楽、すべてはリズムです。